皆様は、古い建物を解体する際に出てくる不用品について、どのようにお考えですか?ただの廃棄物として処分していたものが、実は次の世代へ活かせる貴重な資源かもしれません。
株式会社名古屋ナカテックは、2025年8月11日に「リユース・リサイクル開始のお知らせ」を公表し、解体現場から出る不用品を無料で再利用へつなげるという新しい取り組みをスタートさせました。本記事では、解体工事のプロとして、どのような物がリユース可能で、どのような物が適正な処理が必要なのか、その具体的な線引きについて解説します。
解体工事と聞くと、古い建物を壊して消し去るというマイナスのイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、わたしたちナカテックにとって、解体工事は決してそうではなく、「新しい創造のはじまり」として捉えています。
これまで住まわれた方の思い出がある建物、その敷地には様々な資源が存在します。それらを適切に取り扱い、次の世代へつなぐことが、わたしたちの責任だと考えています。
真の創造とは、地球環境との調和なくしては実現しません。だからこそ、ただ効率的に解体するだけではなく、「丁寧な施工で、未来をつくる」というスタンスで、一つひとつのプロジェクトに向き合っています。
リユース・リサイクルの取り組みは、この哲学を具体的に形にしたものです。廃棄物を減らし、資源を活かし、環境への責任を果たす。これが、これからの解体工事のあるべき姿だとわたしたちは確信しています。
解体工事は、建物の歴史と価値を次の世代へつなぐプロセスでもあります。古い建物に使われていた素材や設備には、当時の職人の技術が詰まっています。それを無駄にするのではなく、新しい形で活かすことで、環境への配慮と同時に、文化的な価値も保全できるのです。
解体現場から排出される不用品の処理方法は、大きく三つに分けられます。正確にこれらを区別し、適切に処理することが、環境への責任を果たす第一歩です。
リユース(再利用) とは、そのままの形や機能で、修理をしない状態で再度使用できるものを指します。例えば、状態が良好なシステムキッチンやユニットバス、デザイン性の高い建具など、次の使用者が「そのまま活用できる」という状態が条件です。
リユース品の最大の特徴は、追加の修理や加工が不要だという点です。取り外した直後から、次の建築現場でそのまま使用できる状態であることが重要な基準となります。わたしたちの解体現場では、リユース対象品と判定した物については、破損させないよう特別な配慮のもと、丁寧に取り外す作業を行っています。
リサイクル(再資源化) は、素材や原料に戻して、新しい製品の材料として使用される処理方法です。コンクリートガラ、アスファルト塊、鉄筋、石膏ボードなど、そのままでは再利用できないが、原料として価値がある物質を指します。
リサイクルは、物をそのままの形で再利用するのではなく、一度素材レベルに分解し、新しい製品の原料として生まれ変わらせるプロセスです。例えば、混在した金属くずは、磁力で鉄と非鉄金属に分別されたうえで、それぞれ別の工場で新しい製品へと変身します。このプロセスには、高度な分別技術と知識が必要とされるのです。
廃棄(適正処分) は、有害物質が含まれているもの、または再資源化が困難で、法的に埋め立てや焼却処分が義務付けられているものです。アスベストやフロンガスを含む機器など、適正な処理施設での処理が必須となります。
廃棄物の中には、人体や環境に悪影響を及ぼすものが少なくありません。特にアスベストなどの有害物質を含む建材は、見た目では判断しにくいため、専門的な知識を持つ業者による正確な判別が不可欠です。
この三つの区別は、単なる分別作業ではなく、環境法令を遵守し、安全性を確保するための重要な専門的判断なのです。わたしたちナカテックは、毎回の現場で、これらの判断を慎重に、そして責任を持って実施しています。
リユース可能な不用品には、どのようなものがあるのでしょうか。解体現場でよく見かけるリユース対象品について、具体的にご紹介します。
住宅設備・建具 が最も多いカテゴリーです。状態が良好なユニットバス、洗面台、トイレ、システムキッチンなどは、取り外しの際に破損させなければ十分リユース可能です。照明器具や給湯器も、使用年数が短く、動作に問題がなければ再利用の対象となります。
興味深いことに、良質な木製ドアやサッシなども、施工当時の質が良ければ、新しい建築の素材として高い評価を受けることがあります。古い家屋ほど、建材の質が優れていることが多く、これらは単なる不用品ではなく「価値ある資源」なのです。
リユース品として適格かどうかを判断する際には、いくつかの重要なポイントがあります。第一に、清掃状態です。特に水回りの設備については、衛生面の懸念が次の利用者に不安を与えないよう、徹底した清掃が必要です。第二に、機能性の確認です。実際に通電させたり、水を流したりして、正常に動作することを確認しています。
内装・装飾品 も重要なリユース対象です。欄間などの伝統的な建具、デザイン性の高いスイッチプレート、ヴィンテージタイル、古材(良質な梁や柱)など、美術的価値や歴史的意義を持つ品々は、ほかの建築作品の中で新たな命を吹き込まれます。
古民家の解体では、特に創意に富んだ意匠の建具や、手作業で削られた梁などが、リノベーション業者や建築家から高く評価されるケースが少なくありません。わたしたちは、こうした品々の価値を見極め、丁寧に取り外すための専門的なスキルを持っています。
外構・庭園資材 も見落としがちですが、実は多くの再利用価値があります。庭石、灯篭、飛び石、景観石、カーポートのアルミフレーム、良質なウッドデッキ材、レンガ、ブロックなど、これらは土やセメントの付着が少ないものであれば、そのまま再設置できる状態で活用可能です。
ナカテックは「建物だけじゃない、外構の解体工事もしっかり対応」というスタンスで、敷地全体からのリユース可能性を最大限に追求しています。庭園の資材は、次の世代の方が同じ敷地を活用する際に、非常に重要な資産となるのです。外構のリユースを意識することで、廃棄物の削減効果を最大化させることができるのです。
備品・その他 のカテゴリーも存在します。エアコン、ストーブ、未使用に近い工具、依頼主様が残されたご家具なども、リユース対象となり得ます。市場で需要があるか、軽微な修理で機能回復が可能かといった点を総合的に判断し、次の利用者様へ安心してお渡しできるかを確認しています。
すべての不用品がリユース可能というわけではありません。むしろ、適正に廃棄処理またはリサイクルが必要な物が、解体現場では大量に出てきます。
リサイクルが適切な物 として、コンクリートガラ、アスファルト塊、鉄筋、金属くず、大量の木くず、石膏ボードなどが挙げられます。これらは形が不定形であったり、複数の物質が混在していたりするため、素材に戻して新しい製品の原料として活用する方が効率的です。厳密な分別と適正な処理施設への搬入が必須となります。
コンクリートガラ、通称「Cガラ」も、適切にリサイクルされると、新しい建設資材となります。細かく粉砕されたコンクリートは、路盤材として道路建設に使用されたり、新しいコンクリート製品の骨材となったりします。このように、リサイクルを通じて、資源が循環していくのです。
リユースが不適切な物 も存在します。破損が激しい設備、衛生的に再利用が困難な設備(古い浄化槽や汚物処理槽など)、使用年数が長く故障リスクが高い家電製品などです。これらをリユースしてしまっては、次の利用者に迷惑や危険をもたらす可能性があります。
わたしたちは、依頼主様の「気持ちよさ」と、次の世代への責任を考え、品質や衛生面で問題が生じる可能性が高いものは、適正に処理します。例えば、古いユニットバスであっても、水漏れの形跡がある場合や、内部にカビが広がっている場合には、リユース対象から外し、適正な処理ルートへ向かわせることになります。
有害・特定廃棄物 の処理には、特に慎重な対応が求められます。アスベスト含有建材、PCB使用機器、フロンガス含有機器、特定の塗料や薬剤など、人命や環境に有害な物質は、リユースはもちろんリサイクルも不可能です。隔離・撤去し、法令に従った処分施設での適正な処分が義務付けられています。
有害物質の中でも、特にアスベストは見た目での判断が困難です。古い建物の断熱材や吹き付け材に使われていることが多いのですが、専門的な知識がなければ、それがアスベストを含むものかどうか判別できません。わたしたちは、疑わしい建材に対しては、分析検査を実施し、確実に有害物質を特定したうえで対応します。
2025年度優良工事等表彰を受賞したナカテックの強みは、こうした有害物質の正確な判定と適正処理にあります。見た目では判断しにくい有害物質も、専門知識と経験により、確実に特定し、対応できるのです。法令遵守の姿勢が、国からの表彰という形で評価されたのです。
解体工事で見落としがちなのが、地中に埋まっている埋設物です。古い浄化槽、基礎のガラ、地中配管など、これらが残存していると、将来の土地利用に大きな支障をきたします。
ナカテックが実施する試掘調査とは、本格的な解体工事の前に、地中に何が埋まっているかを調べるプロセスです。小型の重機を使って、敷地内の複数箇所を試験的に掘削し、地下の状況を確認します。
試掘調査で発見されることがある物の例としては、昭和時代に埋められた浄化槽、建設時の廃材、古い配管、時には産業廃棄物が存在することもあります。これらを事前に発見し、適正に処理することで、クリーンな資源循環の基盤を確保します。
地中に埋まったままの産業廃棄物は、土壌汚染の原因となり、次の世代の土地利用に深刻な影響を与えます。これを放置することは、環境への大きな負荷であり、依頼主様への責任放棄にもなりかねません。わたしたちは、こうした「見えない埋設物」というリスクを排除し、次の創造の障害を事前に取り除く、専門的な対応を実施しているのです。
試掘調査にかかる追加費用については、事前にご相談いただき、透明性を持って説明させていただいています。短期的なコスト削減よりも、長期的な安心と信頼を優先する、それがわたしたちの姿勢なのです。
なぜ、ナカテックのリユース・リサイクル活動は、単なる掛け声で終わらず、実現できるのでしょうか。それには、いくつかの理由があります。
第一に、法令遵守の徹底 です。有害物質や産業廃棄物の不適切な処理は、依頼主様を巻き込んだ深刻なトラブルに発展する可能性があります。わたしたちは、すべての廃棄物を厳格に分別し、法定の処理ルートに乗せることで、環境法令遵守を実践しています。毎回の現場で、チェックシートを用いた確認作業を行い、誰の目にも明確な記録を残しています。
第二に、近隣地域との良好な関係構築 です。リユース品の分別や搬出には、通常よりも時間がかかります。このプロセスを円滑に進めるには、近隣の皆様の協力が不可欠です。わたしたちは、「通学路のすぐそばでも安全に作業を行う」という配慮と、丁寧なご挨拶、確実な養生など、準備を徹底することで、地域との信頼関係を築いています。
地域の皆様と良い関係を構築することで、解体工事中のご質問やご懸念にも迅速に対応でき、現場トラブルの未然防止にもつながります。こうした丁寧な対応の積み重ねが、わたしたちの評判を支えているのです。
第三に、情報提供と無料相談による継続的支援 です。リユース・リサイクルは、依頼主様との協力があって初めて成り立ちます。わたしたちは解体コラムを通じて、リユースの重要性や具体的な流れについて啓発し、「空き家解体について知りたい」という相談にも無料で対応しています。
依頼主様が十分に理解し、納得していただくことで、初めて信頼のうえに立った取り組みが実現するのです。わたしたちは、一方的に処理方法を決めるのではなく、対話を大切にし、依頼主様とともに最適なプランを立てていくアプローチを取っています。
解体で出た不用品を無料で再利用へつなげるナカテックの取り組みは、単なる環境活動ではなく、新しい創造を確実にするための、専門的かつ倫理的な実践です。
リユース可能なもの、できないものを厳格に専門的知識で分別し、法令に基づいて適正に処理することで、わたしたちは「想いを次世代につなぐ」という責任を果たしています。
解体工事をご検討される際は、ぜひ、リユース・リサイクルへの強いコミットメントを持つ専門業者を選定してください。それが、「丁寧な施工で、未来をつくる」こと、そして次に土地を使われる方へ「気持ちよさをお届けする」ための、最も確実な道筋となります。
ナカテックは、環境への責任を果たしながら、解体工事の新しいスタンダードを築いていくことを、お約束します。わたしたちのリユース・リサイクル活動について、ご質問やご不明な点があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。無料のご相談も受け付けています。
©Nagoya nakatec Co., Ltd.