まちをつなぐ解体工事のお話し
鉄骨造よりRC造の方が、解体費は1.2〜1.5倍重くなる。
坪単価だけで比較すると、追加費用で泣くことになる。
工期にも構造差がある。RC造は最低+1週間の余裕を。
一言で言うと「鉄骨造よりRC造の方が、解体はお金も時間もかかる」
最も重要なのは「坪単価だけで比べず、構造・階数・立地条件まで含めて見積もりを比較すること」
失敗しないためには「木造の感覚で予算を組まない」「安すぎるRC解体見積もりを疑う」「工期に1〜2週間の余裕をもたせる」ことがポイントです。
まず、鉄骨造(S造)とRC造(鉄筋コンクリート造)のざっくりイメージを揃えておきます。
鉄骨造(S造)
柱や梁が鉄骨で、外壁・床は軽量の材料との組み合わせが多い
建物自体の重量は、RC造より軽いことが多い
RC造(鉄筋コンクリート造)
柱・梁だけでなく、床や壁も厚いコンクリート+鉄筋で構成される
建物重量が重く、同じ延床面積でも「壊す量」と「運ぶ量」が多くなる
解体費は、簡単に言えば「壊す手間×出てくるガラ(土地から出る廃材)の量×処分費」で決まります。 RC造はこの”すべて”が鉄骨造より重くなりやすいので、坪単価にも差が出やすい構造です。
ケースによりますが、解体の相場感を「構造別×坪単価」で並べると、次のようなイメージがよく使われます。
| 構造 | 延床30坪前後の住宅イメージ | 坪単価の目安レンジ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 一般的な戸建て | 3〜5万円台 | もっとも安い。重機+手壊しのバランスで調整しやすい。 |
| 鉄骨造(S造) | 軽量鉄骨の戸建て・小規模店舗 | 4〜7万円台 | 鉄骨切断や金属の分別が増える。RCよりは軽い。 |
| RC造 | マンション・ビル・頑丈な住宅 | 6〜10万円台以上 | コンクリート量が多く、手間・運搬・処分費が一気に増える。 |
※都市部・道路幅・重機の入りやすさなどで、ここから±数万円変動します。
同じ30坪でも、木造なら150万円前後、鉄骨造なら200万円前後、RC造なら300万円前後という見積もりも珍しくありません。 「前に実家の木造を100万円台で壊したから、今回も同じくらいでしょ」と考えると、鉄骨造・RC造の見積もりを見た時に「え、なんでこんなに高いの?」と夜中に何度も数字を見直すことになります。
私自身、最初にRC造の解体見積もりを見たとき、正直ひるみました。 当時、木造30坪の解体でおよそ120万円だったので、「RC造40坪なら、まあ200万円台後半くらいかな」と勝手に見積もっていたのです。
ところが実際に出てきた見積もりは、諸経費込みで約350万円。 画面の数字を見つめながら、「桁を読み間違えたか?」と何度もスクロールし直しました。
解体業者さんに率直に聞いてみました。
私:「正直なところ、想像よりかなり高くて…。木造とそんなに違うものなんですか?」 担当者:「木造と比べると、RCは出てくるコンクリートの量が段違いなんです。ガラの処分費と、鉄筋の切断・分別の手間が一気に増えるので。」
そこで初めて、「構造が変わると、そもそもの土俵が違うんだ」と腹落ちしました。 それ以来、解体費を考えるときは「坪数」だけでなく「構造」を真っ先にメモする癖がつきました。
鉄骨造とRC造では、同じ坪数でも費用構造が変わります。
鉄骨造(S造)
鉄骨を切断する手間はあるものの、壁・床が軽量な分、ガラの量はRCより少なめ
スクラップとして鉄骨の売却益が出ることもあり、その分が見積もりに反映されているケースも
RC造
コンクリートガラの量が多い(トラックの台数も増える)
鉄筋の分別が必要で、重機+人手の両方がかかる
処分費(産廃コスト)が全体の中で大きな割合を占めやすい
よくあるのが、「RC造なのに、木造とほとんど変わらない坪単価で出ている見積もり」です。 一見お得に見えますが、正直なところ、ここには「途中で追加費用がかかる未来」が透けて見えることが多いです。
コンクリートガラの処分費が、後から”別途”加算される
鉄筋が予想以上に多いと言われ、追加請求になる
アスベストや地中埋設物が見つかったときの対応が高額
「安い=ダメ」ではありませんが、鉄骨造・RC造の解体で相場より極端に安い見積もりが出た場合は、 「この金額の根拠はどこですか?」と一度ゆっくり聞いてみるのがおすすめです。
工期も、構造によって変わります。
目安として、
木造30坪:10日前後
鉄骨造30坪:2週間前後
RC造30〜40坪:2〜3週間前後
といったスケジュールで案内されることが多いです。
RC造は、
鉄筋コンクリートの壊し方に制限がある(安全面・騒音・振動対策)
ガラ搬出の回数が増える
周辺道路への配慮が必要
といった事情から、「急いで壊す」ことがそもそも難しい構造です。
よくあるのが、施主側の頭の中にあるスケジュールが、 「引越し→1週間で解体→すぐに新築工事」 という”理想のタイムライン”になっていて、現場の感覚とのギャップが出るケース。
ケースによりますが、「RC造なら解体だけで3週間+ゆとり1週間」くらいを見ておくと、精神的にも楽になります。
以前、鉄骨造の小さな店舗を解体するときに、私自身がスケジュールを詰めすぎたことがあります。 「家賃がもったいないから、今月末までに解体を終わらせたい」と思い、ギリギリの日程で解体と原状回復を組んでしまったのです。
工事が始まって3日目の夕方、現場監督から電話がありました。
監督:「すみません、ちょっと予想以上に床下のコンクリートが厚くて…。あと2〜3日だけ、解体に時間をください。」 私:「あと2〜3日…家賃の締め日、どうしよう。」
その夜、机の上でカレンダーと契約書を何度も見比べながら、深く長い息を吐いたのを覚えています。 結局、家賃は日割りで数万円の追加負担で済みましたが、精神的な消耗感は思っていた以上でした。
あの経験以来、「構造が重い建物は、工期に最低でも1週間の”クッション”を入れる」と決めています。 スケジュールの余白は、心の余白でもあります。
A1:目安として、同規模ならRC造の方が鉄骨造より1.2〜1.5倍程度高くなることが多いです。 コンクリートガラの量・鉄筋の分別・処分費が、RC造では大きく増えるためです。 ただし、立地条件や階数によっては、この差がさらに広がるケースもあります。
A2:結論から言うと、「坪単価だけ」では危険です。 構造・階数・道路幅・重機の入りやすさ・アスベストの有無などで、同じ坪単価でも条件がまったく違うことがあります。 坪単価を見るときは、「何を含んだ単価なのか」を必ず確認しましょう。
A3:一般的には、鉄骨造の方がRC造より解体の負担は軽いと言われます。 鉄骨の切断や分別の手間はありますが、コンクリート量が少なく、ガラの処分費も抑えやすいためです。 ただし、大型の鉄骨建築や高層階になると、足場・クレーンなど別のコスト要因が増えます。
A4:「建物を小さくする」ことはできませんが、無駄なコストを抑える工夫はできます。 たとえば、事前に残置物(家具やゴミ)を整理しておく、地中の埋設物の有無を調べておく、複数社に現地調査をしてもらい適正な相場を把握するなどです。 安さだけで選ばず、「何が含まれてこの金額なのか」を数字で説明してくれる会社を選ぶのが近道です。
A5:目安として、30〜40坪規模なら、鉄骨造で2週間前後、RC造で2〜3週間前後を見ておくと安心です。 ただし、道路幅が狭くトラックの出入りに制限がある場合や、騒音規制が厳しいエリアでは、さらに日数がかかることもあります。 「ギリギリではなく、+1週間の余裕」を基本ラインにしておくのがおすすめです。
A6:鉄骨造・RC造の建物なのに、「木造と同じ感覚」で予算を組んでいる
すでに2〜3社から見積もりを取ったが、金額差が大きくて判断に迷っている
解体後の新築工事の日程だけ先に決めてしまっている
このどれか一つでも当てはまるなら、正直「今すぐ相談すべき」側です。 構造に合った費用・工期のイメージを一度プロに整理してもらうと、その後の判断がかなりラクになります。
A7:解体着工まで1〜2ヶ月の余裕があり、見積もりはこれから取る段階
建物の構造(鉄骨造・RC造)と延床面積、築年数が把握できている
解体後の予定(駐車場にする、新築するなど)が大まかに決まっている
ここまで準備できていれば、「この状態ならまだ間に合う」と言えます。 あとは、構造に合った解体計画を組むだけです。
A8:もし、木造・鉄骨造・RC造が混在している敷地(増築部分が木造、本体がRCなど)なら、 「一番重い構造(多くはRC造)を基準に見積もり・工程を考える」のがおすすめです。 軽い方に合わせて計画すると、重い構造の部分で予算も工期もオーバーしやすくなります。
鉄骨造とRC造は、同じ坪数でも「壊す量」「運ぶ量」「処分する量」がまったく違うため、解体費用と工期にもはっきり差が出ます。
鉄骨造よりRC造の方が、一般的に解体費は1.2〜1.5倍、工期も長くなりやすく、「木造の感覚」で予算を組むと大きなギャップが生まれやすい構造です。
迷っているなら、「建物の構造・坪数・築年数」を紙に書き出して、そのメモを持ったまま一度プロに相談するのがおすすめです。
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